行 く 春


一番に古く汚い衣を着るや

心落ち着くあー貧乏症 車降りまた次回ねと別れを告ぐ

人もういないいつもの場所に メールもらい吾返事出すやメール待つ身

着信音ごと君かチェックする 今時はメール文通し送付文
     け
すぐに消去すのが常識らしい 数独の枠に九個の異数字を

見事に並ぶ業の人あり 吾帯状疱疹になり頭痛時は

頭抱えて頓服を飲む 片手には頭支えて他の手で

君にメールをと一指一指キーを打つ
紫と赤のさつきとつつじ咲き

吾がきれいよと競い合っている 自信ない歌作りしがパソコンに

保存させてもアップロードできず ひざまずき被災地を訪い平成流

声聞きを踏むと令和天皇 新玉を沢山得ては煮て焼いて

天ぷら味噌汁多様に使う 「道の駅」九十九里では「海の駅」

東金町は「町の駅」なり 連休に外房に行き金目鯛

定食待ちてやっと食べられり パソコンで丸いドーナッツ間違えて

マウスのつもり握り動かす 旅をして新しい地に身を置けば

新しい目で自分を発見
新芽出て剪定せよと老体に

ムチ打ちアメは今日年金日             ひとひ ひとひ
春の日の一日一日と暖まり
ひとい ひとい
一衣一衣と着物脱ぎ行く イースターには白百合の花飾りましょ

主が復活した記念の日です 八重桜満開過ぎ散り始め

平成最後の満月を見る ママたちがいつもの場所に送り来て

幼稚園バス子ども乗り行く 十年のパソコン広場写真見て

髪長かったと過去懐かしむ 「ノートルダムのせむし男」活躍の

大聖堂の尖塔崩る 聖堂の一千億円寄付金に

パリ庶民デモ生活苦訴える
天平時大伴旅人酒杯持ち

梅の歌会始める辞 花冷えで館内花見弁当を

食みつつ語る暖かコミュニティ 我が妻の生きている間は顧みず

労わらなかった日々を悔い入る 雨共に白い花びら散り落ちる

黒車に付きて大きく見せり デコポンを頬ばりながら歌作る

濡れ手拭きつつパソコンを打つ      なか
四月中また厳寒に襲われて

花散り際の見せ場失う 期日前投票に行き静けさに

悪い気がする鉛筆の音 若き日の夫留学しホームスティの

親切に触れ人生変わる
被災者の失った物より残された

物数うとの言葉にうなづく イチローの美フォームで打つバット構え

最後の試合ノーヒット残念 五個の花咲いたと開花宣言され

寒雨のなか戸惑うつぼみ 一日が薬飲みから始まりて

食毎飲めど何故か錠余る 桜アーチ車窓に見つつ徐行して

帰るタイヤに花びら一つ 並木路をチョウチン灯り席あるが

寒さもどりて客集まらず お茶を入れ最後一滴をしぼり出す

この忍耐ぞ風味を保つ 民ら詠む万葉集を飛び出して

令和の二文字元号となる
「明日こそ燃えないゴミ出しの日ぞ

大声上げる誰もいないが 
季節来ても沈丁花は前のよう

強く匂わず君も老けたか 「沈丁花よく匂うね」と人が言う

吾が鼻つまりて嗅げなかったのか 芳香の沈丁花をばクチナシと

嗅ぎ間違いを風邪のせいにする 古布のすね擦り切れたジーパンはき

赤ちゃん抱くは優しいママよ メモしたる和歌パソコンに入力し

稚拙承知でアップロードする 後の日に推敲するが意に添わず

永遠に未完の我が歌になり 甘物にすぐ手が出るが「控えよ」と

天の声聞く糖尿病者
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